ジョージ・ケイブルス(George Cables)
ケイブルスを初めてしっかりと意識したのが、私の場合はアート・ペッパーとの77年のヴィレッジヴァンガード盤でした。そこに居たケイブルスは何と詩的で叙情的であったことか。しかも紡がれる音は決して女性的なソフトタッチのものではなくあくまでも力強く腰も粘りもある音が印象的でした。そのケイブルスがそれ以前にレギュラー・メンバーとして組んでいたデクスター・ゴードンに、これは捧げられたアルバムです。全曲がデクスターの愛奏曲で構成、リズム隊も往時の仲間というこだわりよう。意外なところではドナルド・バード作のファンキー・チューン「ターニャ」の調理法、ルーファスのベースによる渾身の黒光りしたソロを経て泉のように澄んだケイブルスのピアノ音が抜群のコントラストを生んでいます。これには亡きデクスターもきっと改めて一緒に共演したかったと、草葉の陰で嬉しそうに聴いていたのではないかと思います。

単なるピアノ・トリオ作品とは一線を画したこだわりのコンセプト・アルバム
George Cables Trio / A Letter to Dexter \2,625tax in
極上のジャズしか出さないと宣言したスイスの新興ジャズ・レーベル、Kind of Blue。
実際現在までの通算6作品はいずれもが今後長く愛されそうな、魅力溢れる良質の
ジャズばかり。この常時警部留守トリオのアルバムもやはりありがちなピアノトリオ
作品とははっきり一線を画したアルバム。それは#7Body and Soul一曲を聴いただけ
でもはっきりと伝わります。今までにないひねりのある解釈が実に新鮮、それは大ス
タンダード「ラウンド・ミッドナイト」においても同じで、まるで完成済の端正なコンクリ
ート・ブロック塀を目の前でガラガラとなぎ倒し、また直後に直感で多面的に積み直
している芸術家のようなピアノワークです。この立体的な手法は実に新鮮、全編を
包む泉のようなピアノワーク自体、音が活き活きと躍動している感じです。

2006 Italy/EU Kind of Blue 10006
★★★★★


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